※この記事は祝!『箱めるモ!』リリース 特別企画 ゆるめるモ! “ほぼ専属”作詞家・小林愛インタビュー!! (1/2)の続きです。
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(のん)では、『箱めるモ!』について。曲は箱庭の室内楽さんが全曲を担当、愛さんは全6曲中5曲を作詞されました。初めてのコラボはどうでしたか?
(愛)最初は本当に緊張しました。箱庭の室内楽は、ハシダさんが歌詞を書いていて、箱庭の室内楽のファンの人たちはそれがいいわけですよね。そのファンの人たちが私の歌詞を聞くって本当にどうしようって思いました。ハシダさんの歌詞よりもいい歌詞を書かないとコラボの意味がないと思って、すごく悩みました。だけど、途中で「まいっか」って(笑)。悩んでても書けないし、ハシダさんと似ている歌詞を書いても意味がないと思って、もう誠意をつくすのみって思って書きあげました。
リリースされてみると、とっても評判がよいし、ライブに行ってCDが目の前でバンバン売れていくのを見て、やっと肩の荷が降りたというか、ほんとに安心しました。それで報われたと思いましたね。
(のん)特に印象的なタイトルについても聞かせてください。
(愛)タイトルは毎回けっこう気にしています。とにかく普通じゃない感じがいいだろうと。私なりに、youtubeにアップすることを考えて、「なにこれ?」みたいな反応になるように、すごく頑張って変わったタイトルにした曲もあります。MVになるって聞いていた曲は特に、検索ですぐひっかかるように意識しました。ネットで初めて見る人も、「えっ、なにこの曲? 聞いてみたい」ってインパクトを与えられるといいなと思って。
(のん)それでは、一曲ずつ歌詞の解説というか、作詞エピソードなども交えて聞かせてください。
1. manual of 東京 girl 現代史
この曲は個人的に一番気に入っています。うまくいったな〜って。この曲だけ締切の1週間前くらいに送られてきたから、矢のように仕上げました。曲がいいから、歌詞はあっという間に完成しましたね。曲が送られてきたときがバスの中だったので、バスの中で聞いたんですが、聞いた瞬間サビが思いつきました。だから「こいつは早いぞ」って思って、あとは埋めていくだけでしたね。
3. 虎よ
私の場合、サビが一番ドラマチックで書きやすいからいつもサビから書き始めるんですが、この曲だけは頭から書き始めました。最後の三行くらいのところまできたときに最後のオチを思いついたんですけど、そのときは自分で「おお!」ってなりました。うまいこと言ってやりましたね(笑)。
ちなみに、この曲は、『デビルマン』のオープニング映像みたいな色彩イメージで書きました。
4. 私と私と私と私と私と私と私と私と
この曲は最初、「盗んだバイクで走り出そう」ってタイトルにしていました(笑)。“青春っぽい曲”っていうオーダーがあって、青春と言えば尾崎豊だろうと。でも女の子ってバイクとか盗まないじゃないですか(笑)。尾崎って一人だったし、男の子ってかっこつけるところってあるじゃないですか。そういうのって女の子にはわからないな、と思って。でも女の子ってそういうところも憧れちゃうんですけどね。
この曲と、『おこしてしまった?』は、とにかくラップの部分が大変で時間がかかりました。
5. おこしてしまった?
これはもう、曲の持つ世界が濃いからすぐに書き上がりました。「そうだ、全部ひらがなにしよう!」って思いついたとき、やった!と思ったんですけど、そのことを言ってくれる人はあんまりいませんね(笑)。最初、タイトルも『起こしてしまった?』って漢字だったんですけど、最後にお願いして直してもらいました。
メルヘンぽい曲だし、オーダーも一切なくて割と得意ジャンルでした。語りの部分も、一日でスラスラって何も考えずに書きましたね。書いていて楽しかったです。イメージは、女の子がいてのんびりひなたぼっこしてる。でもやっぱりひねくれた心があるから、昼寝だけはさせないぞ、って。だからちょっとエッヂが効いてる言葉が出てくるのかもしれませんね。
6. さよならばかちゃん
……あんまり書いたときの記憶がないですね(笑)。この曲って、たぶん聞いてくれた人たちの反応が一番いいんですよね。たぶんそれがすべてだと思います。いろんな気持ちで聞いてくれているんだろうと思っています。曲ありきの歌詞だと思うから、曲の雰囲気で書きました。
タイトルはどれも悩むけど、これはすごく悩みました。でも親父ギャグみたいなものですね(笑)。
(のん)ありがとうございます! こうやって一つずつ聞くと、また曲への興味が深まりますね。ところで、愛さんは何回かモ!のリリイベも見てますよね。アルバムが出たことにすごく安心したって言ってましたけど、実際にライブを見てどうでしたか。
(愛)すごい良かったです。評価も上々で。でも、その評価は私に直接返って来るものではないんですよね。私は歌詞を書いているだけだから。やっぱりそういう意味での充実感、満足感は個人でやってる方が大きいのは確かです。それでも、みんなと一緒に作業するのって、とっても素晴らしいことだと思います。みんなでやったんだなって達成感と喜びがあります。一人でやるよりたくさんの人に関わってるわけだから、中途半端なことは書けないし、自分のやれることを精一杯やらなきゃいけないし、なによりメンバーはじめ、関係者さんみんなが同じ気持ちでやっているわけですからね。そういう責任のなかで一つのものを作れる喜びは、また別物です。
とはいえ、私個人の活動では届かないような方々に、モ!を通じてたくさん届けられるし、私の歌詞が、私の歌詞以上に広がっていってるなって感じられるのは、すごく嬉しいです。
ハシダさんが曲を書いて、そのバトンを私が貰って歌詞を書いて、またそのバトンをメンバーに渡す。バトンを受け取ったメンバーはステージでパフォーマンスをする。そういうのはすごく素晴らしいと思う。それがちゃんとできたな、達成したな、ってライブで思えるとすごく感動します。
(のん)愛さんって、モ!のお母さんみたいな感じもしますし、ファンなのかなって感じもします(笑)。メンバーのことをどういう風に見ているのか教えてください。
(愛)ライブに行く前は、「厳しい目でダメ出ししてやるぞ!」って思っていますよ。歌詞が間違って世の中に出るなんてあってはならないと思うし、全部チェックしようと思って準備して行くんですけど、結局行くと忘れちゃうんですよね。現場に入ると、「これはお客さんと一緒になってライブを楽しまなければ!」となっちゃって。今はもう、純粋に楽しむためにライブに行ってます(笑)。
メンバーのことは、すごく尊敬しています。単純に、歌詞を憶えて歌いながら踊ってすごいなって思います。忙しいなか、ライブもあんなに数をこなしてるし。物販まで考えるとワンステージと言ったって、とても長いじゃないですか。私にはできないことだと思います。作り手といったって、彼女たちが歌うからお客さんはみんな聞いてくれるわけで、私だけじゃここまで人に届けさせることはできないですよ。だから、彼女たちを尊敬しています。
(のん)最後にもうひとつ。そんなにメンバーに愛情や尊敬を感じながら、愛さんはあんまりメンバーとお話ししてないですよね?この機会にメンバーへのコメントもお願いします。
(愛)そうだね。意識的に、あんまり仲良くならないようにしていますね。私は歌詞を書いているスタッフなわけだから。メンバーと私に個人的な関係ができると、メンバーが私に気を遣ったりすることもありそうでしょ? そういうのっていやだなって思います。私との時間をとるくらいなら、お客さんと関わる時間を取ってほしいと思う。それって、メンバーのためでも私のためでもお客さんのためでもあるなって思います。みんなのこと好きだから、メンバーの一人だけと話すとかもできないですし。一人に話したら8人に同じくらい話しかけなきゃって大変だもん(笑)。モ!のメンバーは1人1人が個性的で単体で目立っていて素晴しいと思うから、その魅力を最大限に活かして『ゆるめるモ!』で一つになって欲しいと思っています。人から褒めていただいた時は素直にうけとめ調子に乗ったらいいと思います。調子に乗ることも才能ですからね。もっと褒めてほしいのであれば、そこから努力したらもっと評価されるもの。出来ないことを頑張るのではなくて、出来ることは全部してみようというつもりで、楽しく頑張ってほしいと思っています。でも、一つ心配なのは、いつもみんなが薄着な気がすること(笑)。風邪をひかないように十分気をつけて頑張ってほしいです。
(了)
あとがき
今回愛さんにインタビューして、愛さんは制作からパフォーマンスまで一人で行なう厳しさも喜びも知っているからこそ、みんなでつくる喜びも強く感じるのだろうなと思いました。メンバーの個人的なことを知らなくても、とっても大きな視点で物事を捉える才能があるので、メンバーもヲタさんたちも共感できる歌詞が生まれるんだろうなと思います。
のんは、ひどもらー(愛さんのブログ『ひどもやま日記』のファン)なので、愛さんのいちファンでもあるわけです。今回のインタビューで、ゆるめるモ!作詞家としての愛さんのこともみなさんに伝わったらいいなと思います。
次回も(?)お楽しみに!
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インタビュアー:のんちゃん
元ゆるめるモ!創設メンバー。
某私立大学に通う花の現役女子大生。お酒と寺山修司がすき。
モ!卒業後は最古参としてヲタ活中。
Twitter: @Penguin_to_Ice
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